新しい・お墓のデザイン・出会いと別離の物語 by 丸谷博男

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2010年 04月 10日

スカルパの墓「ブリオン家の墓」

http://www.mamochin.com/brion/index.html より引用させていただきました。
詳しくは上記URLを訪問してください。

■背景
ラジオの修理工から身を起こし、一代で特異な電機メーカー、ブリオン・ヴェカ゛社を築たジュゼッペ・ブリオン。彼の死を弔い、ブリオン家墓地が生地であるヴェネト地方トレヴィーゾ近郊のサン・ヴィート・ディ・アルティヴォーレに建設されることになった。ブリオン・ヴェガ社は、その製品のデザインをはじめ、工場の建設にもイタリアの著名なデザイナーを起用し、デザイン思考の強いメーカーとして独自の地位を築いたが、墓地の建設に際してもカルロ・スカルパに依頼することになった。
ブリオン家墓地の設計は、1969年に故ジュゼッペ・ブリオンの婦人オノリーナ・ブリオンの依頼によって始められた。
施主(ブリオン)は特にこだわりのない人だった為、この墓地に彼の建築言語すべての収録を許した。

→「これは長所も短所も全てが現出したスカルパの貴重な集大成であり<隠喩としての記念碑>というべき建築である(マッツァリオール)」

共同墓地内の北東の角68・から共同墓地の北東の2200・へ拡大

広大な敷地の合理化
チャペルの併設
これでもまだ大きすぎるように見えたので

周囲に壁をめぐらせる
組積造からコンクリート打ち放しへ
■機能構成

1.入口棟:Propylaeum(プロパイロン)

・軸~200・続く糸過ぎの並木道の軸を受け継ぎその正面に二重円のモチーフを 
・二重円~目とその二つの視界が融け合っていることを象徴する二つのお互いに噛み合った円がくり抜かれており、敷地の境をなす傾斜した壁面を望んでいる。
 眼:近づくものを見据え、風景を切り取る
 夫妻たちの愛

2.パヴィリオン:Pavilion

「これは、私の作品の中で快く赴ける唯一のものです。ここは、自然が美しく庭園のようであり、池の中のパヴィリオンは私のために作ったもので、瞑想のためしばしばそこに出向きます。」
・広大な敷地のため、ここで人は初めて自分の領域を感じることができる
・パヴィリオンの領域を分節する装置
 ・ガラス製の透明上げ下げドアの仕組み
 ・ケーブル
 1本のケーブルを4本にして折り返す。地面から約30・のところに位置し、アルディラ(彼岸)の表現である(心理的な結界)

3.ブリオン夫妻の墓:Tomb Of The Brions

・モチーフはアルコソリウム(Alcosolium:ラテン語で初期キリスト教時代のカタコンベ、重要な人物、殉教者が葬られた場所)
・地面より下がったところに墓石がある
  棺は地面の近くに置かれるよう求められる
  →`死者は大地へ帰す´という伝統に則る        
・寄り添う2つの墓     
 ~2人の子供がきたときに親の温もりを感じられるように石碑の内側には木(黒檀とチーク)が使われている。
 ~互いに愛し合った二人が死後においても互いに声を掛け合うようにできるよう配置されている
・アーチの下に色を塗る代わりにモザイクタイルを用いる→ヴェネチアの伝統とは別の解釈を用いる
・床は、水盤になる予定だったためにその名残が残る

4.親族の墓:Tomb Of The Brion Family

・他の平面的な構成とは対比的に、強烈なマッスが初期の段階から見られる
・外部と内部のレベル差、トップライトからの光、30゜の回転

5.チャペル:Chapel

・敷地は国有地で一般の人のためのもの
 =この家族も共用する権利を持っているに過ぎない
・上からの光が空間を充満(内部要求)
 ←→共同墓地との調和(外部要求)に多くを時間を割く
・Dominantな関係の回避
 ・クーポラの扱い
 ・コーニスの様なギザギザとして分割
・教会のクーポラのように上方から光が舞い込んできて、伝統的なあり方に従う

6.糸杉の庭:Priestユs Cemetery(修道士、修道女のための埋葬の場)

牧師が模型を始めてみたときに「これがたった一人のためのものですか」続けて「かわいそうな牧師のために何かないのですか」といった

・糸杉の意味と配置
  糸杉は、喪を表し、ヨーロッパ原産の常緑高木で街路樹にしたりする。また、ゴッホの絵でも有名。
  地面を10・下げたところに9、5・の高さになる11本の糸杉を水と共に配置した

7.聖具室:Sacristy
8.カルロ・スカルパの墓:Carlo Scarpa'S Tomb
 ~トビア・スカルパ(息子)による設計
9.掘り抜き井戸:Artesian Well
10.泉:Spring

■スカルパによる死の解釈

現代のイタリアのほとんどの墓はちょうど靴屋で見るような箱のようなもの(火葬)で、死者をエレベーターで持ち上げる墓地すらある(後にアルド・ロッシが手がけることになったモデナ市の墓地の依頼を断る)
                 ↓
「これ以外に市民社会の中で、死にゆく方法があるのでは?」
更に、「うたかたの人生においても死がどのような意味を持つのかを示すこともできるのでは?」
                 ・
現代の法律が死者を直立した姿勢で、しかも、古代のように包んで埋葬することを許すべきなのである。(遺言より、スカルパは立ったまま埋葬されている)
靴箱に収まるくらいなら別の方法を考えるべきだ

■共同墓地への配慮

~スカルパは、共同墓地に対して細心の注意を払っており、ブリオン家の墓地と村の共同墓地との間にDominat関係をつくらないように計画されている
・プロパイロンと壁の高さ
・チャペルの作成とその外壁の高さ
・周囲を囲む共同墓地とブリオン家墓地の外壁の高さ

■全体の統合のために

 ・材料の単一性
 ・装飾的要素を取り入れる
 ・水
 ・周囲を囲う壁

■スカルパの建築の特徴

・自立した部分や断片によるアンサンブルの調和(→・へ)
・土着性と共に歴史的コンテクストの重視
・装飾的要素を取り入れる~緩く全体を統合するという機能をもつ
・観念よりもつくられたもの自体の質・内容の重視~職人気質
・「未完」という感覚~常に時間的な要素が組み込まれており、時を経るごとに完成してゆく

■参考文献
《現代の建築家》Carlo Scarpa・・/鹿島出版会
A+U Carlo Scarpa カルロ・スカルパ作品集 1985・10臨時増刊号
Carlo Scarpa/Taschen
Calro Scarpa The Complete Works/Francesco Dal Co+Giuseppe Mazzariol/Electa・Rizzoli
Ga グローバルアーキテクチュア#50 <カルロ・スカルパ> ブリオン=ヴェガ墓地/A・D・A Edita Tokyo
カルロ・スカルパ/A・F・マルチャノ編 濱口オサミ訳/SD選書207 鹿島出版会

■ブリオン家墓地へ行かれたい方へ
検索エンジンを通じてか、わたしのところにブリオン家墓地への行き方を尋ねてきてくれるかたが、ぼちぼちいます。はずかしながら、わたしは実際にブリオン家墓地にはいったことがありませんので(笑)、長村さんのサイトをご紹介します。

-architect office- Strayt Sheep
http://web1.incl.ne.jp/nagamura/04archi/StraytSheep_archi_scarpa.html

上記ページでは、地図画像もありますので、わかりやすいかとおもいます。その他、トップページからたどるとコンテンツがたくさんありますので、是非ごらんになってみてください。
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by ohakadesign | 2010-04-10 07:44 | ❏お墓のデザイン・世界


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